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九谷焼の制作工程

石川県南部で約370年にわたり受け継がれた色絵陶磁器、九谷焼。原料となる陶石の採掘から完成に至るまで、数多くの複雑な技術と手仕事が重なり合って作られています。

※本ページでご紹介する工程は、地域で受け継がれてきた一般的な九谷焼の基本制作プロセスです。九谷プレミアムセレクションが扱う作家物の「美術工芸品」は、これらの基本工程の枠を超え、人間国宝や一流作家が持てる技術と美意識を極限まで注ぎ込んだ希少な作品となります。

一般的な九谷焼ができるまで

一般的な九谷焼の制作は、大まかに「素地(きじ)づくり」と「上絵付け(うわえつけ)」の2つの段階に分かれ、主に職人たちの分業体制によって仕立てられます。

石川県の土地がもたらす陶石から強固な白磁素地を作り上げ、その上に和絵具を重ねて焼き上げる伝統的な工程を経て、日々の暮らしを彩る器が生み出されています。

九谷焼の制作風景

素地づくりの工程(採石・成形)

器の骨組みとなる素地を作りあげる基本工程です。大地の恵みである原石を精製し、職人の手で造形へと形作られます。

STEP 01 : 採石(花坂陶石)

九谷焼の主原料となる陶石は、石川県小松市にある「花坂採石場」などで採掘されています。江戸時代に発見された花坂陶石は適度な鉄分や粘土質を含んでいるのが特徴で、焼き上げるとほんのり青みを帯びた重厚で深みのある素地となります。

花坂陶石の採石場 1
花坂陶石の採石場 2
STEP 02 : 砕石・水簸(すいひ)・脱水

採掘された巨大な陶石をスタンパー(自動杵)と呼ばれる機械で細かく粉砕し、水と混ぜ合わせて不要な不純物や粗い粒子を取り除く「水簸(すいひ)」を行います。その後、フィルタープレス(脱水機)で水分を脱水し、土を熟成させることで、しなやかで成形に適したきめ細やかな粘土に仕上げます。

陶石の砕石工程
精製と脱水工程
STEP 03 : 成形(器のかたち作り)

粘土の空気を抜く「練り」を経て、職人の手技によって器の形を作り出す工程です。ロクロ成形をはじめ、石膏型を用いた鋳込み成形や押型成形など、器の形状や用途に応じた技法で成形されます。

ロクロ成形

ロクロ成形

回転するロクロを用い、手作業で皿や茶碗、花器などの立体的な造形を指先の感覚だけで削り出し成形します。

型成形(鋳込み・押型)

型成形(鋳込み・押型)

泥状の粘土を石膏型に流し込む技法。均一な形状や、複雑な造形美を持つ置物などを緻密に形作ります。

下地と焼成の工程(素焼き・施釉・本焼き)

成形された土は、2度にわたる高温の窯焚きを経て、固く滑らかな白磁へと変化します。

STEP 04 : 素焼き(すやき)

乾燥させた素地を窯に入れ、約800℃の温度で6〜8時間かけてじっくり焼き上げます。素焼きを行うことで素地が適度に引き締まり、水分や有機物が除かれます。ほんのり薄桃色に焼き上がった素地は、次の施釉工程で釉薬の水分をスムーズに吸着できるようになります。

素焼き 1
素焼き 2
STEP 05 : 施釉(せゆう / 釉薬かけ)

素焼きの素地に、焼成すると透明なガラス質の保護膜となる「釉薬(ゆうやく)」をかける作業です。柄杓を用いた流し掛けや浸し掛けなどの技法があり、均一な厚みで美しく仕上げるためには釉薬の濃度管理と職人の素早い手さばきが求められます。

施釉 1
施釉 2
STEP 06 : 本焼き(ほんがまやき)

釉薬をかけた器を本窯に入れ、約1300℃という超高温で12〜15時間かけてじっくりと焼き締めを行います。高温によってガラス成分が溶け合い、素地と釉薬が完全に一体化。素地は固く引き締まり、ツヤのある美しい白磁の素地へと生まれ変わります。

本焼き 1
本焼き 2

色彩を彩る「上絵付け」の工程

焼き上がった白磁の表面に絵具をのせ、鮮やかな色彩を吹き込んでいく伝統工程です。

STEP 07 : 上絵付け(骨描き・彩色)

本焼きを終えた滑らかな白磁の表面に絵具で絵柄を描いていく九谷焼の真骨頂です。まず「呉須(ごす)」と呼ばれる顔料で繊細な骨描き(輪郭線)を行い、その上から赤・黄・緑・紫・紺青の「九谷五彩」の和絵具を厚く盛り付けるように塗っていきます。

上絵付けの工程 1
上絵付けの工程 2
STEP 08 : 上絵窯(うえがま)焼成 → 完成

絵付けが完了した作品を「上絵窯」に入れ、約800〜900℃の温度で4〜10時間かけて焼き付けます。焼成前はマットで落ち着いた色合いだった和絵具が、熱によってガラス化し、透明感と立体感あふれる美しい発色へと変化して、九谷焼が完成します。

上絵窯焼成 1
上絵窯焼成 2