鳳凰 —神聖なる躍動と手びねりの陰影
苦手意識を打ち破り、挑んだ大型の意欲作。鳥を愛する作家が選んだモチーフは、そのスケール感にふさわしい伝説の瑞鳥「鳳凰」です。
本作における最大の見どころは、その中央で圧倒的な存在感を放つ鳳凰の姿です。
特に、羽根を描き出す呉須(ごす)の筆致に注目してください。作家はあえて線を均一にせず、太い箇所や細い箇所を織り交ぜています。この筆致の強弱こそが、静止した模様でありながら、大空を力強く羽ばたく躍動を感じさせます。その線の太い揺らぎは、神聖な存在がまとう不可侵の空気を生み出し、見る者を射すくめるような、凄みのある神々しさを放っています。
この鳳凰を核として、周囲には赤い花模様や夜空の情景が同心円状に展開。マットな黒の上に鮮やかに浮かび上がるこの赤い花模様は、作者がこの作品を制作していた頃、ハマっていた模様なのだそう。
その舞台となる器の質感も、作家のこだわりが光ります。手びねりで力強く成形された本作は、表面に指あとの凹凸がしっかりと刻まれています。その偶発的な揺らぎの上に、金彩やプラチナをあしらうという大胆な試みが、光を受けて趣のある陰影を生み出しました。その光沢は、鳳凰の神々しさにふさわしい重厚な表情を湛えています。
また、器の裏側に施された岩肌の表現など、細部にまでこだわり抜くことで、独自の世界観を揺るぎないものにしています。
当初、作家が想定した花器としての役割にとどまらず、空間を支配するオブジェや飾り皿として、その楽しみ方は無限に広がります。
手びねりの「ぬくもり」と、鳳凰の「神としての威厳」。相反する要素が一つに溶け合い、作家の新たな境地を切り拓いたひと品です。
商品サイズ:幅40×奥行29×高11.5cm
箱の種類:桐箱紐通し
皿立ては撮影のため使用しております。付属しませんので、ご了承ください。